第4章 監視役
寮の中を案内しながら家入さんは私の話を時折相槌を打ちながら聞いてくれた。
そしてある部屋のドアの前に立つと、ノックをした。
「何か困った事があれば遠慮なく言いなよ?」
「はい…ありがとうございます。」
ドアが開き、中から監視役だという乙骨憂太君が出て来ると、家入さんは「あとは頼んだよ。」と一言残し、また医務室へと戻って行ってしまった。
家入さんが監視役だったら良かったのに…と思うが、きっと色々事情があるのだろう。
ドアの前に立ち、眉を下げ困ったように笑う乙骨憂太君に会釈をした。
『・・宜しくお願いします。』
「こ、こちらこそ、宜しくお願いします。」
部屋の入り口でお互いどうして良いか分からず視線を泳がせる。
『・・・あの、、中に入っても、、?』
「あっ!そうだよね、ごめんねっ?どーぞ!」
失礼します…と呟き部屋の中へと入った。
古い建物とは言え、中は清掃が行き届いていて綺麗だし、何より広かった。
「一応僕か五条先生のどちらかが一緒に居る事になってるから、何かあれば言ってね。」
『はい…』
「あ、それで部屋なんだけど、さんの寝室、こっちで良いかな?」
ガチャ、とドアを開け部屋の中を見せてくれた。
「隣の部屋よりこっちの方が窓あるし、明るそうだから良いかな、って思ったんだけど…」
私の顔色を伺うように首を傾ける彼を見て、"監視役"という言葉の雰囲気とはかけ離れた人柄だな、と心の中で思った。
気の弱そうな雰囲気に、ニコッと笑う顔は少しあどけなくて。
私を監視する気なんて更々無さそうに見える。
『お気遣いありがとうございます…じゃあこっちで。
・・・あの、今日は何だか疲れて、、もう休んでもいいですか?』
「えっ?あ、もちろん!そうだよね!疲れたよね…。
明日の朝には五条先生も来ると思うから、ゆっくり休んでね?」
『はい…じゃあ失礼します。』
笑顔を向ける乙骨憂太君に軽く頭を下げるとバタン、とドアを閉めた。
ーーーーー今日は色々あり過ぎた。
とにかく早く横になりたくて、フラつく足取りでベッドに倒れこむ。
早く疑いを解いて施設に帰らなきゃ…
そして気づけば眠りに落ちていたーーーーー。