第3章 私は何者か。
「・・・何でそう思う?」
『だって、、、私が怪我を負わせてしまったんですよね?
いくら記憶が無いとは言えそんなの許されないし、、、
私はまた精神科に入院するん…でしょうか…?」
右手で左手首を隠しながら恐る恐る家入さんに目を向けた。
「いーや?さんは精神を病んでる訳じゃない。
大丈夫だよ、精神科に行く必要はない。
・・・それと。」
その言葉にホッと胸を撫で下ろしていると、
家入さんは徐に白衣を脱ぎ、中に着ていた薄手のカーディガンをさっと脱ぐとそれを私に差し出してくれた。
意味が分からず首を傾けると、家入さんがもう片方の手で私の手首を指差した。
「気付かず悪かったね、だから長袖のシャツを着ていたのか。」
手首を隠したのは無意識だったけど、きっと家入さんはリストカットの跡に気付いたのだろう。
私はペコッと頭を下げ、カーディガンを受け取り袖を通した。
ふわっと家入さんの香りに包まれる。
「・・私はもう気にならないですけど、こういうのって見ちゃった人の方が気を遣っちゃったりするじゃないですか…だから一応、年中長袖を着てました。」
「そうか。・・・じゃあ、もう気にならないならその傷の理由、聞いても良い?」
私は俯き、小さな声で呟いた。
『ーーーーー母の後を追おうとしました。』