第18章 宣戦布告
はぁ…。
広いリビングにため息が響く。
憂太はしん…と静まり返る部屋をぐるりと見回し、「行ってきます」と呟きドアを閉めた。
季節がまた一つ進み、吐く息は白くなった。
さんがいつ、戻って来てもいいようにと部屋はあの日、出て行ったままになっている。
僕はもうこの部屋に居る必要はないのは分かってはいるけど、この部屋から出て行ってしまったらさんの帰る場所が無くなってしまうような気がして、ずるずると過ごす内に3ヶ月が過ぎてしまった。
さんが最後に消息を絶った日、
現場を確認した五条先生は、
「大丈夫、は生きてるよ。
この先、どう生きるかは自身が決める事だから。
案外そのうちひょっこり戻って来るかもしれないよ?」
と話していた。
五条先生が何故そんな確信を持っているのかは謎だけれど、どこかで無事に生きていてくれればそれで良い、、、と思っていた。
けれど、教室や医務室、グラウンドやこの部屋の広いリビング、、、
一緒に過ごした時間は短かったのに、ふとした瞬間にさんの顔を思い出してしまう。
ーーーまた戻って来て欲しい。
彼女の帰りを願わずにはいられなかった。