第17章 揺れる。
東京の喧騒から離れた静かな山の麓。
木々は紅や黄色に色づき始めている。
小さな平家の縁側に座り、ぼんやりと景色を眺め1日が終わっていく。
夏油さんがあの日、私を助けてくれてここに連れて来てくれてからもうすぐ3ヶ月が過ぎようとしていた。
身も心もボロボロだった私を、人里離れたこの静かで自然豊かなこの場所が癒してくれた。
夏油さんは"この家は秘密の隠れ家なんだ"と人差し指を口に当て悪戯っぽく話していた。
ここには誰も来ないから好きなだけ居たら良いよ、と言う言葉にすっかり甘えさせて貰っていた。
「ーーーおや?またここで過ごしていたのかい?」