第14章 夏の終わりに。
巷の高校生達が夏休みを満喫しているこの時期、私達は普段と変わらずトレーニングに明けくれていた。
ーーーと、いうのも3日後に京都姉妹校交流会が迫っているからだ。
「もう1本お願いしますっ!」
「足、止めんなよ?」
ジリジリと照り付ける太陽のもと、グラウンドでは憂太君と真希さんが木刀で打ち合いをしている。
カンッカンッと木刀同士がぶつかる音が響く中、私はというと…
『はぁ、はぁ、、で、、出来ない、、、』
俊敏な立ち回りをしている憂太君と真希さんの傍らで、、、地面に手と膝をついてバテていた。
「高菜?」
『はぁ、はぁ、、狗巻君…、ご、ごめんね?
私からお願いしておいてバテちゃって…。』
心配そうに顔を覗き込む狗巻君にゴメンと手で合図をしながら、何とか立ち上がり笑顔を貼り付けた。
「〜、病み上がりなんだからあんまり無茶すんなよ〜。
そもそもはそんなに焦らんでも交流戦は留守番だって聞いたゾ?」
『うん…そうなんだけどね。』
そう、私は交流戦には参加しない。
それは上からの指示だと五条先生から聞いた。
表状は病み上がりで体力不足、術師として未熟、という理由らしいが、実際のところは反転術式を使える術師は出来るだけ危険に晒したくないというのが上層部の本音らしい。
実際、私はあれから1度も任務には行っておらず、時折家入さんの元で怪我の処置を手伝ったり、反転術式を施した治療にあたったりする事が増えた。
ーーーきっと上の人達は私を家入さんの後釜に、と考えているんだろう。
それが私や周りにとってベストなのかもしれない…
けど…、私には家入さんのように医学には何の知識もないし、何より皆んなが頑張ってるのをただ黙って見送る事がしか出来ないのが苦痛だった。
だから少しでも戦えるようにと、
ここ何日か狗巻君やパンダ君に体術を叩き込んでもらっていた。
でも、一向に"もう1人の私"がしていたような素早い動きは出来ないし、呪力で強化した攻撃も出来なかった。