第9章 【呪術廻戦】0軸の短編(世界融合設定8)
あれは、五条さんと同居をはじめてから少し経ったくらいの頃。
とても不思議な雰囲気の男性と出会った。
この日は、五条さんから紹介してもらった新しいバイトの帰りで。
今日の晩ご飯はどうしようかなー?
五条さんは忙しいから気にしなくていいって言ってたなー。
のんびり考えながら、まだ慣れない五条さんの家へ帰ろうと歩いていた。
暗くなってきたのもあり、道をひとつ曲がると大通りとは違い人気はまばらになってくる。
向かい側から歩いてくる人影をなんとなしに見ていて気づく、あの人すごく背が高いな。
ようやく五条さんの高さに慣れてきた私が見ても、かなり高いと思う。
離れたところから見ても体格が良いのがわかるから、なにか鍛えているのかもしれない。
黒い髪は長く後ろの大半は垂らされていて、ハーフアップの先をくるっとお団子にまとめている。
一房だけ顔にかかっている前髪と、両福耳の大きなピアスが特徴的だ。
上下共にシンプルなティーシャツとパンツはどちらも真っ黒で、そんな服装にもかかわらずやたらと目を引かれる。
これはかなりモテると見た。
世の中には五条さん並みに目立つ人がいるものなんだなぁ。
失礼にならない程度にもう一度だけ…と目線を向けたとき、不意に男性がこちらを見て大きく目を見開いた。
「………悟…?」
「………え…?」
まさか、この人も五条さんの関係者かなにかなの?
あ、下の名前で呼んだからもしかして親しいお知り合い…とか?
久しぶりにされた人違いにちょっと驚いて立ち止まってしまう。
男性を見つめてぱちぱち目を瞬かせるも、急に止まった私を不思議そうに横目で見る他の通行人に気づいてハッとする。
さすがに道のど真ん中で立ち止まっていたら邪魔だろうと端へ寄ろうとしたら、フッと頭上に黒い影が落ちた。
なんだろうと見上げれば、いつの間に近づいて来たのか。
さっき「悟」と呟いたその人が私の目の前に立っていた。
「…ちょっといいかな?」