第2章 涙の理由
「知らねぇよ。どこ行ったらいいか分かんねぇって聞いてきたから教えてた」
「えー、そうなの?なんか岩ちゃんの方が話しかけてたような気がするけど」
「気のせいだろ?」
「そうかな…。でもまぁ俺好みで可愛かったし、今、彼女もいないし」
「お前が振られるからだろ?」
「俺、ちょっと話しかけてくる。転校生だと分からないこと色々あると思うし」
「……勝手にしろ」
及川が去り、俺はため息をついた。というよりため息しか出なかった。
よりによってあいつと同じクラス。ついでに及川まで一緒ときた…。転校生ってだけで及川は浮かれてはしゃいでウザさも頂点を極めて、これから送るであろう俺の一年が前途多難ってことは明確だった。
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