第36章 女の秘密
「…なんだかジョディ、赤井さんに似てきたんじゃないの」
「え?秀に?」
「ええ。そういう顔して私を揶揄うの。あぁ立ちが悪い。
FBIってみんなそうなわけ?」
「あら、心外だわ。
それはFBIがどうこうっていうより、に揶揄い甲斐があるからじゃない?」
「それこそ心外よ!そんなことはないでしょ」
「いいや、絶対にそう」
そう言ってお互いに睨み合って数秒、私たちは同時に吹き出した。揃って場所も憚らずにクスクスと笑い合う。
「あーぁ、今日緊張してきたのが馬鹿みたい」
「本当よ。でも、ぎこちなく話を切り出すは中々に見ものだったわよ?曇りをいい天気だなんて言い出して」
「く、曇り空だって素敵な天気じゃない!
もういいから忘れてよ」
「しばらくネタにしてあげる。とりあえずキャメルには報告ね」
「ちょっと、やめてってば!!」
こうしてその後はただただ他愛のない話を続けて、あっという間に日暮れになった。ここまで気を張らずに下らない話が出来るのなんていつ振りだろうか。
やっぱり、友達と過ごす時間は楽しいものだ。特にそれが、心から尊敬できる大好きな人ならば尚更。
過去がどんなものであろうと私の目の前にいる彼女は、可愛くて、優秀で、だけど少し抜けてる、私の大好きな友人だ。