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【名探偵コナン】sangría

第36章 女の秘密



「で、今になって何でがその言葉を?」

「……実は、昨日とある事件に巻き込まれてね。その時、私の知り合いに変装した見知らぬ人物と居合わせたの。それが前にジョディと花見に行った神社で遭遇した妊婦さんと、何だか雰囲気…というか、感じる威圧感みたいなものが似てて。で、赤井さんやコナンくんに近づかないように言われたし私自身も怪しいと思っていたから警戒していたのよ。
だけど私が油断したときに向こうから接触してきてね、その時にこの言葉を言われたの」


私の話を聞いたジョディは、今度こそ驚いた様子で目を大きく見開き頬杖をついていた手から顔を上げた。



「え、ちょ、ちょっと待って……、それ、本当…?」


動揺を隠せないジョディに、私は肯定の意味を込めて頷いた。


「うそでしょ!?え、ちょっと、大丈夫?何もされなかった?」

「ええ、調べたけど発信機の類も何も仕掛けらてなかった。本当にそれだけ言い残して去っていったの」


するとジョディは指を口元に添えて「あの女、一体何を考えているの…?」とボソッとつぶやいた。



「その様子を見ると、やっぱりジョディはあの人のことを知っているのね」

「…ええ」

「ねぇ、ジョディとあの人は、一体どういう関係なの?」


私はジョディの目をまっすぐに見てそう問うた。
そんな私の様子を受け、ジョディは頭を抱えて数秒。

そうして、意を決したように顔を上げた。



「わかった、教えてあげる」

「…ありがとう」




そうしてジョディは徐に語りだした。


「ならもう分かってると思うけど、あの女は組織のメンバーの一人。コードネームは『ベルモット』。
組織のボスのお気に入りで、中心核に深く食い込んでる人物でもある。ただ我々が掴んでいる情報は数少なくて、本当の年齢でさえも未だ不明」

「…ベル、モット……」


正に先日、イリスから聞いた組織の幹部のコードネームの内の1つではないか。
只者ではないだろうとは思っていたが、まさか自分がそんな重要人物と接触していたなんて。

あの時ただ怯えて震えるだけじゃなくて、私がもっと何か行動できていれば状況は変わっていたのかもしれないのに。
とは言っても、あの場で私が出来たことなんて高が知れているのは分かっている。だが、逃した獲物のあまりの大きさに悔やまずにはいられない。
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