第31章 緋色の
「じょ、冗談ですよ!あはは!
……ごめんなさい、無神経なこと言いました」
「いや、構わん。験直しに切ったのは事実だからな」
何言ってんだよ私!もうちょい考えて発言しろよ!
はぁ、空気が気まずくなったって。
何も言えなくなり黙っていると、今度は赤井さんから口を開いた。
「例の食事にはいつ誘ってくれるんだ?ずっと連絡を待っていたんだが」
「え?
あぁそうだ!!ごめんなさい、ずっと忘れてて……」
「悲しいな」
「本当にすみません!ご都合のいい日があれば教えてください」
「俺はいつでも暇だ」
「なら、来週末はどうです?
そこなら多分仕事も一段落して、ゆっくり食事が出来ると思うんで」
「あぁ、大丈夫だ」
「良かった。沢山不躾なことをしてしまったのでそのお詫びと言ってはなんですが、美味しいお店探しておきます」
「君の手料理じゃないのか?」
「いや、流石にそれは勘弁して下さい。
そもそも、家に人を入れるのが得意じゃなくて。それに、うち散らかってるので」
「そうか。残念だな」
申し訳ないが、まじでうちには限られた人しか入れたことがない。
由美や佐藤と飲む時だって大体居酒屋だし、青柳でさえ送って貰うことはあるものの家の中まで入ったことはない。
なんか、パーソナルスペースを乱されるようであまりいい気になれないんだよな。
……ま、例外もいるけど。
「あ、この辺で大丈夫です。わざわざ送って頂いてありがとうございました。
食事の件はまた連絡しますね。沖矢さんの番号で大丈夫ですか?」
「あぁ、楽しみにしているよ。
あとしつこいようで悪いが、周りで何か不審なことがあったり身の危険を感じるようなことがあればすぐに俺かボウヤに連絡しろ。いいな?」
「……分かりましたって」
「じゃあ、気をつけて」
「はい。赤井さんも」
そうして、赤い車が夜の闇へと消えていく様を見送った。
私は今日、無事に協力者(?)をゲット出来た。
しかも、自分の置かれている状況や『組織』との関係も見えてきた。
ただ、やはり『組織』について未知なことに変わりは無い。
……人を殺すことに躊躇いのない集団か。
そんなの、一警察官としても野放しになんてしておけない。
『組織』を探る意義がさらに増えたな。上等だ。