第3章 【ちぇりーぱい_マス編】
久し振りに乗った電車が妙に楽しかった。
”あれ、まっすーじゃない?”なんて囁く声こそ聞こえたものの、誰一人としてオレに声を掛けて来なかったのは、オレが写メを撮るのに夢中だったからかもしれない。
電車って、こんな風に景色が流れるもんだったんだな。
改めて、自分が”非一般的”な生活を送っていることを痛感する。
到着した地元の駅で改札をくぐると、駅前には懐かしい看板。
オレが中学の時、初めて出来た彼女と1度だけ行った喫茶店だ。
「まだ、あったんだ…。」
腕時計を見ると、まだ時間に余裕がある。
居るはずなんてないんだけど、と過ごした甘酸っぱい記憶に誘われる。
足の向くまま、気の向くまま。
そっと押したドアは、あの日と変わらずカランと音を立てた。
「いらっしゃい。」