第4章 ★ 初めまして * 夢主視点 ★ ③ ★
私は頭を抱えていた
心臓を取る忍術なんかあったか?
簡単に取られたんだけど
人の体から…心臓が…痛みもなく
そんな事ある?
禁術か?
いや、印も無しにそんな事出来る?
目の前のお兄さんに目を向けた
お兄さんの手…すごく色々彫ってあるように見えるけどさー
どれも術式のやつには見えない
なんだあれ?
って言うか!
このお兄さん、私の心臓をボールみたいに扱ってるんだけど
思わず…睨んじゃった
ポーンポーンと効果音が付きそうなんだもん!
もうちょっと丁寧に扱えよ!
心臓だぞ!しかも私の!!
目の前で雑に扱われる心臓よ!
色んな意味で怖いわ!この人!
いや待て待て、私
とりあえず落ち着け、私!
まずは情報だ!
情報を得る手を考えないと
「…はぁ…そんなに睨まないでくれない?何もしないよー」
?)「…」
「だんまりー?お喋りしよーよ…ついでに私の心臓もう少し丁寧に扱ってくれなーい?怖いんだけどー」
?)「…」
急に黙り出したお兄さん
私がそう言うとボールみたいに扱われる事は無くなったが…
こちらを睨んでる顔は変わらない
私は手枷の付いてる手を頭の後ろに持っていきベットに横になった
背中痛いけど
自然とため息が出るわー
このお兄さんから情報を得るのは無理だろうな
口硬そうだもん
せめて今の状況だけでも知りたいんだけど
教えてくれないかな
私の…この船での立ち位置
ただの保護ではないだろう
海賊って言ってたし
海賊って本の中だけの存在だと思ってたから実物を見るのは初めてだし分からないけど
本で読んだ海賊は確か
《船を襲撃し暴行や略奪など航海の安全を脅かす物》
だった気がする
つまり《悪》
そんな海賊に…心臓取られるって…
馬鹿じゃないの、私
くそー簡単にいいとか言うんじゃ無かったぜ
何としても心臓を取り返さないと
でも変な事して心臓潰されても困るしなー
ってか体に穴空いてるのに痛みもなく普通に生きてる
それはそれで気持ち悪いな
とりあえず…情報だ
どんな情報でもいい
情報が欲しい
と、言う事で
「お兄さん、お名前は?」
?)「あぁ?」