【NARUTO】Break&Peace ⑴【うちはオビト】
第16章 Dawn13.大罪と復讐
キィー…
タン、タン、タン…
少しだけ月明かりが射す薄暗い部屋に二つの影が浮かび上がる。
少女は背中でその足音を聞きながら目をつむっていた。
影と足音は少女の眠るベッドの前で止まった。
「リン…起きなさい」
「そろそろ行くぞ」
真夜中。
時計は午前2時前を指している。
リンは振り向かずにゆっくり目を開けた。
鈴「うん…」
ベッドから出たリンの姿はパジャマではなく、いつもコートの下に着ている紺の服。
リンは立ち上がってコートを羽織った。
その表情は明るいとは言えなかった。
痛「本当に後悔はないな?もう二度と…ここには戻って来れないかもしれないんだぞ?」
リンは思い詰めた様子でこくりと頷く。
鈴「お兄ちゃんこそ…」
痛「俺はーー…」
ペインの脳裏に、長門の微笑む亡骸が浮かんだ。
痛「あの時くらこうすると心に決めていた。それに、あいつらなら俺がいなくてもやっていけるだろう」
小「そんな心配いらないわ。私たちは死にに行くんじゃない。奴を倒すために行くの」
小南の言葉からは強い決意が滲み出ていた。
痛「そうだな。…もう行こう」
ペインを先頭にして部屋を出た三人。
かつての友の無念をはらすための正義の復讐――…
今の仲間と永遠の別れになるかもしれない恐怖――…
彼らの心に宿る相反する思い。
重く複雑な気持ちを胸に抱きながらも、故郷へと向かうべく暗闇へと姿を消した………
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