第20章 花咲く未来
人気のない花街を歩く
隣を歩く白澤はやけに無口だ
…そりゃ起き抜けに襲った事は悪かったと思うけど
妲己様にキャンセル料と延長料金を請求されるとは思ってなかったし(何とかツケにして貰えたけど、料金請求してきた時のあの顔は本当に怖かった。)
お店を出る時に檎と小判に耳が真っ赤になるまで囃し立てられ挙句パパラッチされるとは思っていなかった
・・・・・後でミキちゃん経由で元飼い主さんに〆て貰おう。もちろん寄稿前に
そんな風に黒い事を考えていた時だった
「この後どうしよっか?」
アタシの数少ない荷物を持ってくれながら横を歩く白澤が話しかけてくる
「まずはお店(家)に帰って『治療』かな?」
苦笑いしながらアタシは答える
軽く襟元を見下ろせば撒き散らかせた赤い花弁が目に映る
多分全部綺麗に消えるまで10日は掛かるとみた
その言葉に彼は口を閉じてから、一呼吸置いて
「それが終わったらさ………買い物に行こうよ。」
少し真面目な声にアタシは白澤を見上げる。
「石榴ちゃんの寝てる倉庫も一度二人で大掃除して」
遠くを見ながら彼は言葉を紡ぐ
「必要な家具なんかをいくつか見繕って」
そっとアタシの手を自分の手を重ねる
「別にお揃いでなくていいから食器も買い足して」
少し小さなアタシの歩幅に合わせて進む
「お互いに居心地のいい家(場所)にしようよ。」
彼は隣で珍しい表情をしていた。
「もちろん!いっぱい買い物しちゃうから。」
気持ちが溢れちゃって急に駈け出して
驚いて鳩が豆鉄砲を食らった様な顔に変わる貴方
繋いだ手を思いっきり引っ張って振り返る
「早く帰って計画ねらなきゃ、ね!」
唯一の恋は今、始まったばかり