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【鬼灯の冷徹】君という花【R15】

第18章 太陽を想う


石榴ちゃんが居なくなって一カ月たった。
あの日帰ってきた僕を迎えたのは布団の中に脱ぎすてられた僕が買ってあげた衣装と彼女の残り香だけ。
彼女の部屋と化していた倉庫は彼女の大好きなラジオの音が響くだけで最初に彼女が着て来た服も、荷物も全部消えて
書き置き一つもなかった。
その日はこの時が来たか、ってやけにすんなり受け入れられた。

一週間は真面目に仕事をしてお店に来る女の子と楽しく話したり、彼女目当てのお客さんに説明したり
「出て行っちゃった」って言えばいいのに「今出かけてるんだ」って嘘ついて。
サラっと口から言葉が出てきてさ、ホントびっくりした
思ったより重症みたい。
二週間たって他の女の子と遊ぼうと思って出かけるのに彼女の影がちらついて本気で遊べない。
女の子達も僕が上の空なのを見抜いて来てあんまりおもしろくなかった。
気持ち溜息が増えた気がする
三週間目、いない筈のキミを呼んでしまう。
「アレ取って」とか「準備しといてよ」とかそんな些細な言葉が店内に融けて消える
そのままの流れで溜息、が日に何度もあった
遂に兎従業員達に心配されたからアレから毎日開けていたお店を一日休みにする事にした。

店を出てケータイを開く。着信履歴に変わりはない

あれから只の一度も音沙汰はない。

ここ最近あった連絡なんて朴念仁からの薬の催促くらいで、しかもその時に石榴ちゃんが薬を持ってくるのかどうか聞いて来て思わず「彼女はもう此処にいないよ!」って怒鳴って電話を切ったっきりだ
・・・・・思いだすだけでイライラしてくる。
そのまま通話画面を出して適当に妲己ちゃんの所に電話をかける
「あ、妲己ちゃん?久しぶり、あー…ゴメンね、最近会いに行かなくって。今から会いに行きたいんだけど…うん、うんうん。じゃあ今夜、宜しくね。」
・・・さて、今夜の予定は埋まったしまだ予約の時間まで時間がある
「花街でも久しぶりに歩いてみようかな?」
もしかしたら彼女に似た女の子が見つかったり、あわよくば遊べるかもしれないし、ね。

全て元通り。
そうさ、これでいいんだ。
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