第12章 もっと深くを
余りの事に脳が処理しきれず固まっていれば後ろからグィと手をひかれ彼の腕の中におさまる
「おいこら朴念仁、女性の顔をじろじろ見てるなよ。お前の顔が怖すぎるから彼女固まっちゃったじゃないか!」
「そう言うあなたは人前で女性を抱きしめるんですね、自制心の欠片もないんですか。」
そうやって応酬する二人をアタシは無言で眺めるしか出来ない
「落ちつかせるにはコレが一番なの。それとも何、この子の事気に入った訳?」
「・・・・・」
「石部金吉にみえて実は、とか…第一秘書官様も人の事笑えn」
調子に乗ってからかうような白澤の声に被せて鬼灯様がほんの少しだけイラついた雰囲気を解いて言ったのだ
「初めてお会いした時から綺麗な方だと思っていましたよ。今の服装の方がもっと似合っていますが。」
瞬間、白澤からおぞましい位の神気が昇ったと思えばアタシの体は宙に浮いて神獣化した彼の背中に負ぶわれて
「気分が悪い。帰るよ。」
無機質に声をかけられるも思考が追い付く訳もなく、ただ云われた通りに加速する体にしがみ付いていた
あっという間に自宅に帰りつけば変化をとき、アタシの手首をキツク握ったまま無言で進む。彼の自室にたどり着けば寝台に放り投げられ手足を押さえこまれれば無言でこちらを見つめる
無言の時間が重くて、反抗しようともがくけど彼は決して動かない
むしろ、愉しそうに嗤った
「流石は石榴ちゃん、惑わす魅力は野干一だね。あのぶっちょう面を動かすなんてさ。」
そう言いながら口で器用にアタシの上着のボタンを外していく。
見たことないよ、こんな顔。
「おかげで面白い物が見れたよ、シェイシェ…じゃ早速だけどさっき約束した洋服のお礼頂戴?」
晒された首筋に顔を埋めて時折痺れを感じるほどに赤い痕を散らす。
見たくないよ、こんな顔。
ふ、と顔をあげれば獣の目を細くし更に嗤い
「本当に可愛いよね、この服。食べちゃいたい位に似合ってる。」
首筋に噛みつかれる。甘噛みじゃない痛みを伴った行為に目じりが熱くなる
なのに声が震えて出てこない。体が竦んで動かない。
それを肯定とみたのか拘束を解き上着を完全に肌蹴させた後スカートを剥ぎ取って…
そこからの記憶をアタシは放棄した