第9章 宿敵との出会い
それはある朝の事。
(相変わらず酔っ払いな白澤を放置して)開店準備を進めていた店の一角にある黒電話が音を上げた
多分何時ものように女の子から薬の引き取りに行きたいといった内容の電話だろう、そう思ってアタシは営業トーンで受話器を上げた
「はい、うさぎ漢方 極楽満月です。当店に何かご用がおありでしょうか?」
「…もしもし、そちらは白澤とかいうイカレポンチがやってる漢方店で合っていますか?」
「は、ええ、そうですけど・・・」
聞いた事のない男性の声が的確に彼の事を貶す。あっけにとられて言葉を失っていれば電話先から声が続く
「前に頼んでいた金丹ですが、そろそろ出来上がりましたか?」
「ぁ、少々お待ち下さい。」
その声に我に返って薬品棚を探す。高額な物が置かれてる棚を見れば電話先で求められているものはしっかりと揃っていた。薬を頼んだ人の名前を読み上げる
「はい全て揃っております。お客様は地獄にいらっしゃる鬼灯様で宜しいでしょうか?」
「そうです。出来上がっているようでしたら今日受け取りに行きたいのですが…」
「分かりました、では・・・」
そこまで言った所で受話器を奪われる。驚いて振り返れば起き抜けの姿そのままの彼が心底嫌そうな顔で通話口に向かって吠えた
「生憎だけど今日は開店しないよ!どうしても今日欲しいなら使いを寄こすからその子から受け取るんだね!」
「やっと起きてきましたか。まったく良くそれで商売が成り立ちますね。」
「うるさいな!僕の漢方は一対一の治療が売りなんだから予約のお客さんがいる時にお店が開いてさえいればいいんだよ!」
アタシを無視してぎゃあぎゃあと電話口に向かって叫びつつけ、しまいには受話器を電話機に叩きつけた後…彼、白澤は青ざめた顔をしアタシに薬を押しつけて
「癪だけど石榴お使い頼むよ。警戒して錦木の恰好で行くんだよ、良いね!」
と言った後に口から吐血して倒れてしまいました。
なんか、また迷惑ごとに巻き込まれたみたい。はぁ