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【鬼灯の冷徹】君という花【R15】

第5章 分かった事


此処うさぎ漢方 極楽満月に住みだして約一カ月。なんとなく分かってきた事がある。
まずひとつ、白澤(この人)はすっごく目立つ。んでもって浮気者って言葉じゃ片付かないレベルの浮雲具合だ。
此処に住みつくと宣言したその日に
「じゃあ色々揃えようよ。君着の身着のままでしょう?お金なら真面目に働いてくれるし先払いって事にしとくよ。」
って話で桃源郷にある人里にやって来たんだけど会う女の子全てに声をかけている。
んでそれなりの数の子に挨拶を返してもらっている。
時々話し込む様子が見られた時は目配せしてきたので気になるお店を指さして確認する頷きを見てからそこのお店で暇を潰す、という事を一日中繰り返した。
基本的にざっと商品を眺めて欲しい物だけ試着してぱっぱと買い物を終わらせるアタシからすると待つ時間の方が多いので次第に飽きてきてしまった。
ま、お金払いは良かったので結構色々と揃える事が出来た事に対しては感謝してる。

で、その時になかなか痛い視線を浴びてる事に気付いた。

いやー確かに彼の誘いっぷりはアレだけどアタシみたいな「お友達」が欲しい人には都合の良い人だし、本当に彼の優しさに惚れちゃってる子からすると誰か一人にくっついちゃうと困っちゃうのかもね。
嗚呼、面倒くさい。
…話し合いの結果、アタシは男装して薬師見習い錦木として勤める事にした。白澤目当ての女性客が減っても困るし何より陰口とか聞きたくし、ひがまれて暴言受けるとかも勘弁。
おかげで今では胸にはさらしを巻いて、その上に半着に馬乗り袴。お古の白衣と白長靴は変わらず髪は耳の上で結いあげる。何とも和洋折中な姿に落ち着いた。

・・・そして何故かアタシ目当ての女性客が最近増えてきた。

確かに地声は低いし、身長も男性の平均程度はある。一応仕事だから商品説明やら重い物持ったりとかは率先してするし、聞かれた事にはなるべく答えるように心がけてたさ。
だけど、どうしてこうなるんだかなー。ホントに分かんない。
お菓子を頂いたりお茶に誘われたりするけど、その都度お断りしている。そして傷心の女の子を速攻で口説く彼の姿に呆れを超えて、いっそ天晴れともいえる気持ちがわいてくる。
ま、今の所この作戦で落ちた子を見た事はないけどね。
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