第3章 --病院ではリスクが付き物ですね--
私は今、ゲージの奥で丸まってます。
「ほら、今日は散歩に行こう」
『ニャッ(嫌です)』
昨日、病院って言っていたのに今日になって散歩って…。
絶対騙されませんよ!!
沖矢さんの事だからキャットフードを食べない事とか、体の事とか色々調べる為に病院に連れて行くつもりなんだろうけど…。
なんだろうか、この違和感は。
別に病院は行っても良い。注射だって人間だった頃は別になんて事はなかった。
でも、今めちゃくちゃ拒否反応が凄い。
やっぱり動物は病院嫌いなのかな…?
「はぁ…仕方ない」
なんだろう?無理やり捕まえるのかな。そうされたら私は大人しくするしかない。
沖矢さんに傷を付けたくないから。
だが私の予想と反して、沖矢さんが手に持っていたのは猫じゃらしの玩具。先端には羽や鈴などが付いている猫じゃらしを私に向けている。
「これは好きかな?」
『……』
おっおおおおきやさんが猫じゃらしを持って遊ぼうとしている……だとっ!?
ヤバすぎ!!!!えっ、めちゃくちゃスマホで連写したいんだが!!!!
スッ、スッと猫じゃらしを左右に振って遊んでいらっしゃる…いや私を遊ばせようとしてるんだけど!
貴重過ぎて私は沖矢さんを凝視していた。
「おやおや。猫じゃらしではなく僕に興味が?」
『ニャッ!(全くもってその通りです!)』
「フッ…怖くないから、おいで」
怖くないから、おいで。
ファーーーー!!!
差し出された手に私は即座に顔を擦り寄せて自分から捕虜になった。
─────────…
「沖矢昴さん、どうぞー」
「はい」
『ニャッ(はーい)』
キャリーバッグから出され診察台の上へ。暴れれば暴れるほど長くなるから大人しくしておこう。
今日の診察で分かった事がある。
私の種類はミヌエットという猫種。ペルシャ猫とマンチカンを異種交配させた、日本ではあまり見ない希少種らしい。
毛色はクリームタビーホワイト。タビーとか聞いた事ないなぁ…。
野良猫なので正確な年齢は分からないが、大きさから1歳に満たないくらいじゃないかと獣医師は言った。
ただ新種の為、個体差があるとの事。
生きてた頃は25だったからそのくらいの年齢かと思ったんだけど。
もう終わりかと思ったその時。
「避妊手術についてなのですが…」
『っ!?』
