第5章 泥棒
「あーはっはっはっはーーっ」
「あなたが海賊狩りのゾロさんだとつゆしらずっ!失礼しましたっ」
案の定ゾロにボコボコにされて返り討ちにあった三人組は今必死に船を漕がされている。
「てめェらのせいで仲間を見失っちまった。」
『ほんとだよ。でもルフィの気配はこのまま真っ直ぐ進んでるよ。』
「いいか?おまえらはとりあえずこのまま真っ直ぐこげ。あいつのことだ、陸でも見えりゃ自力で降りるだろ。」
三人の遭難者はへこへことしながらふねをこぎつづける。
「で?なんで海賊が海の真ん中で溺れてたんだ?」
『ほんとだよね。』
「それだっ!!よく聞いてくれやした!!」
「あの女っ!!」
「そう!!あの女が全て悪い!!!」
「ありゃあおれたちが商船を襲った帰りのことでした・・・。」
「ぐっしっしっし!!」
「こりゃあいい額の宝物だぜ!!!」
「あの小さい商船のにしちゃあ上出来だ!!」
「バギー船長からご褒美が出るかもな!!」
「ん?おい、あの船なんだ。」
宝で盛り上がってるなか、小さい船を見つけたんす。
「誰かぐったり倒れてるぞ。」
おれたちは確認するためにその船に近づきやした。
「お?女じゃねェのか?」
「おい!お前どうしたんだぐっしっしっし、死んでんのか?」
「ああ・・・私は夢でも見ているのかしら・・・。こんなに広い海で・・・人に出会えるなんて・・・。」
女はぐったりしてていかにもか弱く答えたんだ。
「どなたか存じませんが・・・水を、水を一杯いただけませんか。・・・できることならたった一欠片のパンでも・・・。私遭難してしまって・・・!!」
そういって女は横の宝箱に手を置いた。
「お金なら差し上げます。いくらでも・・・。どうか助けて・・・。」
「いいとも助けてやろう。その前にその宝箱を見せてくれねェかな?」
「どうぞ・・・こちらへきて好きなだけお持ちください。それより水を・・・!!」
「まァ待て待て娘さん!!宝の確認が先さ!」
「そう!なんせおれたちゃあんたの命を助けるんだ!!」
「よろしければその船ごと差し上げますわ!」
その声に振り返ると女はおれたちの船に乗り込んでいた。
「は!??あの女!!おれたちの宝を積んだ船を!!」
「おい、この宝箱空だぜ!!」