第68章 やっと
少し離れたところに待機していた警察車両がどんどん倉庫の敷地内に入って来る。
安室さんは見られてはいけない人もいるんだろう、キャップを深く被り直した。
「安室さんごめんなさい。とっさに名前呼んじゃった…。」
「あれくらいなら大丈夫だ。」
風見さんが,目で合図を送ってくれた。
バンに入れってことだろう。
私も安室さんは目立たぬよう風見さんが用意してくれた車に乗り込んだ。
「お疲れ様でした、降谷さん、めぐみさん。」
「逃げた者はいないか?」
「はい。ここの倉庫周辺に来ていたボスおよび手下、総勢18名。全員確保しました。」
「組織の人間全員ではないだろうが、ボスとその側近を捕まえられたのはデカイな。」
「はい。」
「怪我人は。」
淡々と仕事の話を進めていく二人の話を黙って聞いた。
「銃で撃たれた者は3名。命に別状はないでしょうが今病院に向かっています。軽症者もいるようですが、たいした被害はありませんでした。…包囲をする時間をめぐみさんが稼いでくれたので。」
急に私の名前が出てきて、びくりとした。
「めぐみ。怖かっただろう。ありがとう。」
「ううん、それが全然怖くなかったの。正義のヒーローたちのおかげだね。映画見てるみたいだった。」
かっこよかったーって言うと、二人は優しく微笑んでくれた。
「不思議な人ですね。」
「だろう?」
何故か安室さんの方が得意げに言って、それから、私の頭をぽんぽんっと叩いた。
「彼女の声を多くの捜査員が聞いていたので、最後のあのセリフで先程盛り上がってましたよ。」
「何?」
風見さんの言葉に降谷さんは眉を寄せた。
「『強い男ってのは正義のヒーローたちのことだ』…。そんなことを普通は言われませんからね。嬉しかったのでしょう。」
「は、恥ずかしい…。」
「今回のヒーローはめぐみさんです。」
「か、風見さんっ!」
それ以上褒めるのはやめてほしい。恥ずかしくて死にそうだ。