第12章 下手な嘘
「……悪かったな。
慣れないことをしたからボロが出た。
だが、もうしない。」
リヴァイの優しい声に、
エマは安心感を覚え、
「ほんとに、もうしないで下さいね……」
そう言うと、
リヴァイを抱きしめる手に力を込めた。
「それにしても、
お前、俺の事つけてたんだろ?
無茶ばっかりするんじゃねぇよ。」
「……すみません。」
「まぁ、どうせエルヴィンの
差し金だろうがな。」
リヴァイのその言葉に
エマは顔を上げると、
「何で分かるんですか?」
そう言ってリヴァイの顔を見入った。
「お前が一人でそんなこと思いついて、
実行できるとは思えねぇよ。
そんな向う見ずなことを思いつくのは、
エルヴィンくらいだ。」
リヴァイは呆れたように言う。
「でもそれがなかったら、
私はリヴァイさんの本意を
知らないままになるところだったかも
知れないですよ?」
「何だ?俺にエルヴィンに
感謝しろとでも言いたいのか?」
「そんなこと言ってないです。
……もしかして、やきもち妬いてますか?」
「当たり前だろうが。」
リヴァイはエマの頭を、
自分の胸に押し付けた。
「あいつは、ついこの間まで
お前の恋人だったんだぞ?
こっちが少しでもボロ出したら、
そこに付け込むかも知れねぇだろうが。」
「……リヴァイさんがボロ出さなきゃ
いいだけじゃないですか。」
「おい。簡単に言うな。」
エマはリヴァイの胸の中で、小さく笑った。