第68章 約束の桜
「お前は兵団の料理人として、
兵団の仲間として、兵士を励まし、助けてきた。
そのことについては、
兵団の人間として礼を言う。」
エマは何も言わず、小さく頭を下げた。
「……だが、お前に一番支えられていたのは、
間違いなく俺だ。」
リヴァイのその一言を聞き、
一気に涙が込み上げる。
「今思えば、お前とあの店で出会った時から、
俺は自然とお前に惹かれてたんだろう。
いつも笑顔で、誰に対しても平等に接し、
肩書なしの俺を見てくれていたお前が、
あの時から俺にとっての
“心の拠り所”だったように思う。」
頭を下げたまま、
必死で涙を堪えようとするが、
今までのリヴァイとの思い出が
走馬灯のように頭の中を駆け巡り、
頬を涙が伝った。