第68章 約束の桜
「本日ご列席頂きました皆様へ、
誓約をして頂きます。
皆様、ご起立ください。」
エルヴィンは分厚い本に目を向け、
よく通る声で話し出す。
参列者が一斉に立ち上がり、
辺りは再び静まり返った。
「新郎リヴァイと新婦エマ、
この二人の結婚に正当な理由で
異議のある方は申し出て下さい。
異議がなければ、
今後何も言ってはなりません。」
そこまで言ったところで
「これを俺に読ませるのか。
ここで俺が異議を申し出たらどうなる?」
冗談めかして小声でリヴァイに耳打ちすると
「お前に正当な異議はないだろうが。
さっさと進めろ。」
リヴァイは眉間に皺を寄せ、
エマはリヴァイを見て、小さく吹き出す。
エルヴィンはそんな二人の様子を見て、
少し頬を緩めると
「異議はありませんか?
……ジャン、エレン、
反対する機会は今しかないが、
進めても問題ないか?」
そう言ってジャンとエレンに視線を向けた。