第68章 約束の桜
不意に啜り泣く声が聞こえ、視線を向けると
ハンジがモブリットとジャンの背中を
摩っていた。
図らずも頬が緩み、自然と緊張が解れる。
ピクシスのエスコートを受けながら、
一歩一歩ゆっくりと
バージンロードを歩いて行くと
グレーベージュのタキシードを身に纏った
リヴァイの姿が徐々に近付く。
普段と雰囲気の違うソフトなリーゼントヘアは
上品で光沢のあるタキシードと
上手く調和していて
そんな姿を見ていると、
心ともなく鼓動が高鳴った。
「……意外と様になっておるな。」
ピクシスの呟きに、
エマは少し顔を綻ばす。