第64章 希望
「リヴァイさんが起きるきっかけを作る為に
私にプロポーズしたってだけであって、
そもそもエルヴィンさんは
私と結婚するつもりなんか、なかったんだと。」
エマはそう言って小さく笑う。
「……今回のことがあって、確信しました。
二人の間には、言葉で表せないような
強い信頼関係があるって。」
エマはそう言いながら、
あの時のエルヴィンを思い出す。
今まで見たことがないくらいに
冷静さを欠いたエルヴィンは、
真っ直ぐ、リヴァイだけを見ていた。
私を引き合いに出して訴えかけていたが、
それはリヴァイを起こすきっかけに過ぎず、
私との結婚を望んでいたようには思えなかった。
自分が誰よりも一番リヴァイを失うことを
恐れていたと思っていたが、
もしかしたら、エルヴィンの方が
その思いが強かったのかもしれない。
そんなことを考えてしまうくらい、
エルヴィンの言葉は
側で聞いているだけの自分の心にすら、
強く響いた。