第64章 希望
「ああ。全部聞こえてた。
勿論、お前がエルヴィンに濃厚な
キスをされてるのも分かってたしな。」
リヴァイは不快感を声で表す。
「そうだったんですね……
それなら、あの時手を握り返したのは
偶然じゃなかったってことですか?」
「当たり前だろうが。
こっちは何度も、
お前に話しかけようと足掻いてた。
……だが、身体は思うように動かねぇし、
声も出ねぇ。」
リヴァイは軽く目を閉じ、
「それでも……
お前が泣くのを必死で我慢する声を聞いて、
エルヴィンの懸命な訴えを聞いて、
絶対ここで起きなきゃなんねぇと思った。」
と、力強い口調で言った。
「エマ、随分待たせて悪かったな。」
リヴァイの優しい声は、涙を誘う。
エマはもう泣くのを
我慢することなく、涙を溢しながら
「いえ。
私はいくらでもリヴァイさんを待ちますよ。」
と、強くリヴァイを抱きしめた。