第55章 作戦の上の作戦
「……リヴァイが帰ってきたら、
私は今度こそ本当に、君を諦めようと思う。
それが、君にとってもリヴァイにとっても
もちろん私にとっても
一番いい選択だと思うんだよ。」
エルヴィンの穏やかな声は
エマの心の奥に入り込む。
「だから君にこれだけ執着するのは、
今日で最後にするつもりだ。」
エルヴィンはそう言って
エマを少し離し、
心憂いを含んだ表情を浮かべて
「……エマ。最後に君を」
と、言いかけたところで
エマに勢いよく手を引き寄せられ、
唇を奪われた。
「……続きは言わなくていいです。」
目に涙を溜めたまま
そう言ったエマの頬を、
エルヴィンは優しく撫でると
「相変わらず、君には何でも見通されるな。」
そう言って
嬉しそうにも困ったようにも見える表情で笑い、
唇を重ねた。