第55章 作戦の上の作戦
「でも私、花も花言葉も
全然分からないんですけど。
教えてくれるんですか?」
「……そうだな。」
エルヴィンは何かを考える様に目を瞑る。
そして
「分かった。
どれかひとつだけなら教えよう。」
と、エマに視線を向けた。
「何でひとつだけなんですか?」
エマの疑問に、エルヴィンは
「全部言ってしまうと、さすがに重い。」
と、笑って答える。
「いまさらですね、それは。」
エマは小さく笑うと、
一輪の花を指さした。
「それなら、
この花のことを教えてください。」
エルヴィンは一瞬沈黙すると、
「アネモネか。
花言葉は、期待だな。」
そう言って花に目を向ける。
エマはエルヴィンの顔を覗き込み、
「……それ、嘘吐いてる時の
顔じゃないですか?」
と、ニヤつきながらエルヴィンを見た。