第55章 作戦の上の作戦
しばらくして、エマは目を覚ます。
まだ開き切らない目を
擦りながら時計を見ると、もう深夜だった。
『かなり寝てたんだな……』
エマは視線を横に向けると、
エルヴィンはエマに背を向けて
眠っているようだった。
『……寝ることで逃げるのって、
やっぱり卑怯な気がする。』
寝ている自分に
エルヴィンが手を出すことはない。
これは確信していたことだった。
そして、それを確信していながら
エルヴィンが部屋を出た後、眠りについた。
そもそも、
エルヴィンが手を出す出さない以前に、
自分もエルヴィンに欲情しないとは限らない……
『……本当に、私のこの性欲は
一体どこから来るんだろうなぁ……』
エマは心ともなく、
大きなため息を吐いた。