第53章 花言葉
エマは何かを考える様に
目を瞑ると、
「エルヴィンさんが花言葉に詳しいのって、
貴族女性にプレゼントする為
だったりするんですか?」
そう言ってエルヴィンの顔を覗き込む。
「……君は私が女性を落とすために
知識を身に付けていると思っているようだな。」
エルヴィンは
困ったような表情でエマを見た。
「全部が全部そうとは思わないですが
花言葉なんかは、
そうなんじゃないかなぁと思って。」
と、正直に答えるエマに、
「そんなことはないよ。
士気を高めるために使ったりもするからね。」
エルヴィンはそう言うと、ビオラを指さす。
「ビオラの花言葉の一つは“信頼”だ。
女性の兵士に贈る花としては
丁度良いと思わないか?」
エマはエルヴィンの顔を見入って、
「仕事が関係すると、
エルヴィンさんは顔が変わりますよね。」
と、感心したような表情を浮かべた。