第48章 最初で最後の
エマがリヴァイを後ろに向かせ、
掛け湯をしてから風呂に入ろうとすると、
「おい。風呂の中まで
タオル巻いてる訳ねぇよな?」
そう言ってエマの顔を覗き込む。
「……え、外すべきなんですか?」
「湯は白濁してんだ。見えねぇよ。」
リヴァイはそう言いながら、
エマのタオルを引っ張った。
「わ!分かりました!
取りあえず入るまでは後ろ向いててください!」
エマは再びリヴァイを後ろに向かせると、
タオルを畳んで傍らに置き、
ゆっくり湯に浸かった。
「あー、気持ちいいですねぇ。」
湯の温度は適温よりも少しぬるいくらいで、
長湯が出来そうだ。
そして、確かに湯の色は乳白色で、
身体は見えそうにない。
エマは少し安心して足を延ばした。
「リヴァイさん、こんないい温泉、
今まで独り占めしてたんですか?」
エマは不満気に
リヴァイの顔を覗き込む。
「誰かに教えて繁盛されても困るからな。」
リヴァイはそう言ってフーッと息を漏らした。