第46章 油断と出来ない理由
「俺が真面目に話しても、
お前は俺の話を理解できないじゃねぇか。」
『プロポーズを聞き流してた時のことを
言っているのか……』
エマは5年前、ナイルを軽くあしらい
傷付けてしまっていたことに
少し胸を痛めつつ、
「あの時の私は、特に無知だったんです……
今なら理解できますから。」
と、ナイルに笑いかけ、
「だから、席に座って」
そう言いかけたところで、強引に唇を奪われた。
ナイルの突然の行動に、
エマは咄嗟に顔を横に向け
「ちょ、ま、待ってください!」
と、ナイルの手から離れようとするが、
強く掴まれたままの手は全く動かず
再び唇を奪われる。
『なに?酔っ払ったら
こんな強引になる人だったの?!』
焦った胸中で考えを巡らせながら
歯を食いしばり、
舌の侵入を拒んでいると、ナイルは唇を離し、
「エルヴィンとはやってるんだろう?
俺とはできないっていうのか?」
そう言ってエマの目を見入った。