第26章 涙の意味
「……なぁ、その涙の意味、
本当に分かんねぇの?
分からないふりしてるだけじゃなくて?」
ジャンの声から
困惑している様子が伝わる。
「……分かんない。」
エマはジャンの胸に顔を埋め、
今の自分の気持ちを整理しようとするが
考えを巡らそうとした途端、
再び涙が零れ、嗚咽が漏れた。
「ごめん、俺、こんな時エマさんに
何て声かけてあげたらいいのか、
わかんねぇよ……」
ジャンはエマの背中を優しく摩り、
「……でも、団長のこと好きでもないのに
涙が出るのって、
やっぱりおかしいと思う。
俺が言いたいこと、わかるよな?」
そう問いかけると、
エマはジャンの胸の中で小さく頷く。
「とりあえず今は何も考えなくていいから。
エマさんが泣きやむまで付き合うよ。」
背中を摩るジャンの手の温かさを
強く感じながら、
エマはジャンの腰に手を回した。