第26章 涙の意味
ジャンの楽しそうな表情を見て、
少し興味の湧いてきたエマは
ジャンの隣に並ぶと、そっと壁に耳を当てる。
「……エマさんも意外と
そういうことするんだな。」
「……ジャンの影響だからね。
これで盗み聞きにハマったら責任とってよ。」
エマが冗談めかしてそう言うと、
ジャンは顔を綻ばした。
「……ねぇ、これ、完全に最中じゃない?」
エマは壁に耳を当てたまま、
ジャンに問いかける。
「だな。相当女がよがってるっぽいけど。」
「さすがにこれを盗み聞きするのは
気が引けるよ……」
「……なに?興奮してきた?」
「しないよ!」
反射的に声を張ったエマの口を、
ジャンは咄嗟に押さえた。
「声でけぇよ……!!
冗談に決まってんだろ!?」
「……ごめん。」
思わずエマが謝ったその時、
壁の向こうの人物の予測がつく一言が聞こえた。