第10章 使命感
杏「親御さんから聞いていないのか。校長先生の名は産屋敷あまねさんだ。旦那さんは理事長を務めていらっしゃる。」
「…産屋敷……。校長先生と理事長さんが…。」
(お父さんとお母さんが固執していた人たち…。)
杏寿郎はりんが両親の事を思い出して落ち込む前にヒョイと横抱きにして立ち上がった。
「わっ!」
杏「そろそろベッドへ行こう!!」
「じ、自分で歩けます…!」
赤くなって訴えるりんに杏寿郎はただ明るい笑い声を返す。
それだけで空気ががらりと変わった。
りんはその軽く温かくなった空気を感じ取ると、抵抗を止めてきゅうっとなる心地良い胸の痛みに目を瞑った。