第4章 傷とキズを舐め合うように
やり過ぎたと後悔しながら俯くと、頭上でため息が出る。
「私が許したんで、別にそんなに落ち込まないで下さい。次からは……その……ソフトなやつから……お願いします……」
急いで顔を上げると、真っ赤になって顔を逸らすちゃんがいて、暗かった気持ちが晴れる。
「また、しても……いいの? 君に触れても……いい?」
「お手柔らかに……お願いします。あ、後、突然は怖いので、やめて下さい……」
「分かったっ! 約束するっ!」
ちゃんの一言一言が、俺の気分を上げたり下げたりする。
ちゃんは、俺に色んな感情を教えてくれた。
もっともっとちゃんと一緒にいて、笑ったり喜んだり楽しんだり、色んな事を共有したい。
一番の願いは、ちゃんの彼氏になる事だ。
でも今は、ちゃんといられるだけで、凄く幸せだ。
「じゃ、ちゃんどぽ呼んでくんね」
「はい」
微笑み合って、俺は立ち上がって独歩の部屋をノックした。
扉を開いて入ると、相変わらず散らかされた、お世辞にも綺麗とは言えない部屋が目に入る。
「ほーらどっぽっぽー、どうせ飯食ってないんだろー、ちゃん来てるから、起きてこーい」
「あ? ? 何で……あぁ、そっか……」
デートの話は嬉しさのあまり話しているから、覚醒し始めた独歩は理解した。
寝癖を付けて、顔色が悪い独歩の腹が鳴る。
お酒を二人に任せて、俺は簡単な物を数品と、独歩のご飯を素早く作った。
「うっまそー……いただきます」
飯にがっつく独歩の隣で、ちびちびと酒を飲むちゃんを、机に頬杖ついて見つめる。
「一二三……あんまり見つめてやるな。縮こまり過ぎて萎む勢いだぞ」
「だってさぁーちゃんどぽー、飲み方まで可愛過ぎっしょー」
「一二三さん、チャラい……」
恨めしそうに俺を睨みながらも、頬をほんのり赤らめているちゃんが可愛すぎる。
お酒を飲む女性は見慣れているけど、何かを思った事はなかった。
何でこんなに可愛いのか。
一緒にいて、色んな話が出来るようになって、触れて。そんな事をしていたら、もう離れたくなくなってしまった。