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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第36章 漆黒の葬列



本当に肝が冷えた、恐ろしかった、惨殺されるのを覚悟した。これでも一応博士のお家でお世話になる様になって、学校やプライベートで工藤くんと関わり始めて、彼が事件にどれほどのめり込む気質なのかはある程度理解してきたつもりだ。幼児化した彼はまずは元の姿に戻る事が先決だから、幾らか冷静に憎悪と衝動を堪えてくれると思っていた。


けれど、結果は公安案件に首を突っ込ませる状態になった。私達の事前に幾つか考案された作戦の一つでは、工藤くんに内密で杯戸シティホテルに来たジンの前にわざと現れ、血糊入りの防護服を着た私とピスコがそれぞれジンに射殺される形で死亡偽装を演じる予定だった。それでも何故かこのプランを立てて私に話してくれた当時、椎奈さんや風見さんや諸伏さんはその作戦が破綻する前提で喋っていた。「今の工藤新一は組織の取っ掛かりがあったら、止めても首を突っ込みかねないから」と。実際その通りになってしまったのでさもありなん、登下校の道で鉢合わせるなんて悪運も強い……。



灰原「……それより、本当にこの会場に?」

コナン「ああ、奴は別れの会って言ってたからな……。ピスコって奴も、そいつが狙うターゲットも、ここに来ているはず……」

灰原「……」



二人で出来るだけ密着しながら開きっぱなしの扉へ近づき、この部屋だけでやっているという偲ぶ会の看板を見つめた。そうしていよいよなのだと組織に近づく事に嫌悪感と緊張で顔が強張っていく私と違い、犯行を阻止する正義感と自信に満ち溢れている工藤くん。どうやら私が渋々「入るつもりなの?警察に任せましょう?」という意味で聞いたことは、彼には「本当にここで合ってるか?」という意味に勘違いされてしまってるようだ。彼は唇の前に人差し指を立てる仕草で「お喋りはここまでだ、乗り込むぞ……」とやはり一切の躊躇も、考え直す様子の無いまま入ってしまう。


否、入りかけた所で私の背後から不意に伸びてきたた喪服長袖を纏った腕が、工藤くんの肩をむんずと掴んで止めていた。そうして引っ張られた拍子に「うわっ」と声をあげる工藤くんと、腕が伸びて来て驚く私に、背後の人間の深すぎる溜息が聞こえる。それが非常によく知る者のそれで、ましてや工藤くんは身内が故にぎょっと目を見開きながら振り返った。



コナン「ね、姉さ……」

椎奈「コ〜ナ〜ンく〜ん?」
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