第23章 後日談

アメリカ市内の某レストラン街、そこで私は身がすくんだ恐怖を味わった───


私は滞在期間のうちの二日間、市内を観光しても良いっていう事務所の配慮で元々休暇になっていたので、グリリバちゃんこと景光くんと二人で出歩いたのだ。勿論、ファンから騒がれちゃったらマネージャーだと答え、ファンサでサインやツーショットなどを要望されればできる限りで対応した。私も個人でインス○だったり、Twitte○の為の写真を撮りつつ観光を楽しんだ。それに晩にはクリスと会って、食事をしようと約束だってしていた


なのに誰かが悪かったわけじゃなく、本当に運が無くて偶然だったのだけど、接近してしまうのが怖くて堪らなかったのだ。そんな恐ろしかった男の特徴を挙げるとすれば、そう……頭文字（イニシャル）Gより艶やかな真っ黒ロン毛、黒いニット帽を被って、ぶっちゃけ陣平くんよりヤクザっぽくて切れ長な窯のある目


ファンなら絶対分かってしまう主要人物……そう！なんと赤井秀一さんが見えてしまったんだ！


……正直言って、悲鳴を上げなかった自分がおかしいくらい怖かった。何せ目だけで何人も殺せそうな眼力とオーラだ、その時一緒だった景光くんに後を任せて気絶してしまった私は悪くない……と思いたい！


その後結局どうなったか？そんなのクリスとのご飯の約束は消えて、別の機会に会う事になったに決まってるでしょ？景光くんには目覚めた後でそれを言って、「無理もないww」と草を生やして大爆笑されてたね。そして帰国した後、新一達が遭遇してしまったミュージカルのメンヘラ女優の顛末に加え、その件も報告したら皆やっぱり「ざまぁww」とか、「会ったことないけど赤井秀一どんまいww」って言って床をのたうち回るぐらいの大爆笑！



因みに、シャロンさんからもちゃんとLIN○で通じているから、ミュージカルで会えなかった事を惜しむ文がやって来た



【せっかくアメリカに来れたのに、ミュージカルが無理になって残念だったわね。何年かぶりに会いたかったんだけど、仕事なら仕方がないわ……。それにミュージカルはトラブルで中止、おまけにクリスとも会えなかったんでしょう？また今度アメリカにいらっしゃい、また会いましょう？】



そして体調が悪いと言って会えなかったクリスからも、私を安じるメッセージ以外にもう一文、【宝物が二つも増えた】と届いた