第23章 僕の過去
side.名前
私の過去を悟さんに話して暫く経った頃。
2人で秋服のショッピングをしていると。
悟さんとうっかりはぐれてしまった。
どうしよう…
キョロキョロと辺りを見回して悟さんを探す。
幸い悟さんは背も高いし、見た目が良いから。
すぐに見つける事が出来る。
だけど悟さんは一人ではなかった。
「あのー♥お一人ですかー?」
「宜しければ、私とご一緒しませんか?」
「えー。私達とカフェでお茶でもしませんか?」
「いや。僕は妻と一緒に買い物に来てるから」
綺麗なお姉さん達に囲まれていて。
悟さんは、その人たちのお誘いを断っている。
カッコイイし、優しいし。
モテるのは当たり前だよね…
私は悟さんしか知らないけど。
悟さんはどうなんだろう?
「あ。いたいた。名前ー。離れちゃダメじゃないか」
「…悟さん…」
遠目から見ていたところを発見され。
ギュッと抱きしめられた。
「暗い顔して、どうかした?」
「…何でもないよ…」
「そう?」
悟さんにとって、女性に声をかけられるのは。
日常茶飯事かもしれない。
けれど私はそれが嫌で。
暗い気持ちになってしまう。