【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】
第7章 5ページ目 彼氏と彼女でぷ!
「んじゃあ、お互いの趣味は尊重する!で !! 」
ずいっと出てきた小指を見ると、朔夜は笑顔で言ってくるのだ。
「趣味邪魔しない、やくそーく」
そう言うと強制的に指切りをした。初めて触れた朔夜の身体は小さな小さな小指。自分と違って柔らかい指だった。
「指切り指切りー!」
まるで幼い子供がする様な約束の仕方だったのだが、不思議と気分は悪くない。それ所か影山は気分が良い気がしていた。
触れる小指が熱い気がする。
(…………俺の、彼女)
心の中で言葉にしてみるが、ピンと来ない。バレーをしている時の様な興奮も、楽しさも、来なかった。
好きでなければ、興味も無い相手。でも彼女である相手。
どうせ長続きする事も無いだろう。きっと相手にされない事に、呆れられるのは目に見えるのだから。
(少しの間付き合えば満足するだろ……)
そう決めつけに近い完結をして、指切りを見つめた。
「手、でかい!いーなー !! 」
約束の為の指切りをしている筈なのに、朔夜の興味は影山の手の大きさに移っていた。コロコロ表情が変わるな、と見ていると小指が離れていった。
(…………?)
離れた事に何故か寂しい、と言う言葉が過ぎり、影山は首を傾げた。何故、そんな風に思ったのか分からなくて。
「それじゃー帰ろ帰ろ!」
弁当箱をランチバッグの中にしまいながら、朔夜はドヤ顔で言い出した。
「私先に戻る!トイレ行ってくる!もしかしたら大きいのかもしれないし、小さいのかもしれない!」
聞いていない、と思っていると朔夜はさっさと立ち上がるとスカートを叩いていた。
昨日の時もそうだが、羞恥心がないタイプなのかもしれない。じゃなければ、話して二日目の相手にトイレだ済ませたいだの、どっちだ、なんて話す訳がないのだから。
「じゃあ教室でね〜。トイレが俺を呼んでいるぅ!」
最後にまた訳の分からない事を言いながら走っていく姿を影山は黙って見送った。
嵐の様に目まぐるしく動きまくる奴だと言うのが、影山の感想。
言ってる事も分からない事が多過ぎるし、返答にいちいち苦労しそうだと思うと気が重い。
でも、バレーを優先していいと言うのは助かるのでよしとしよう。