第34章 呪いの器(三成君)
佐助「もうすぐだ、しっかりして、舞さん!」
「っ……ぅ!あ゛…!」
意識を取り戻した途端に舞は激しい胸の痛みに唸り始めた。
心臓に杭を打たれるような痛みに身体がびくっ、びくっ、と跳ね回り、励ましの声はまったく届いていなかった。
「うっ……!ぅ…!」
痛む心臓部を着物の上から掴み、乱れた襟元から襦袢の白が覗き見えている。
はっ、ふっ、はあ、と不規則な呼吸で、それでも懸命に生きようとしている舞を佐助は励ましながら上空を見上げていた。
佐助「ワームホールが開くまであと少しのはずだ。
早く…、早く開いてくれっ」
「うっ……ああああぁっ…!」
佐助「舞さんっ!」
安土のはずれにある低い山。
そこに女の断末魔が響いた瞬間、ざあっと強い雨が降り注いだ。