第8章 指名
「あっちーッ何でこの学校夏服ねェの」
机にうなだれながらグズグスと文句を言う悟。
「五条、あんまり暑い暑い言うな。余計に暑くなるでしょ」
そんな悟を見てイライラしたように硝子はポケットからタバコの箱を取り出しタバコを一本口に咥えた。それを見た傑がさかさず硝子に注意をする。
「そんな硝子は教室内でタバコを咥えるのはどうかと思うよ」
「火付けてないから。咥えてるだけ、心を落ち着かせてるだけ」
火を付けてないからって教室でタバコを咥えても良いんだろうか。そもそも高校生がタバコを吸ってる時点でアウトなのでは…なんて今更な事を思うも、暑さのあまり口に出す気にもなれない。
「…炭酸が飲みたい」
本当はアイスが食べたいけど、こんな山奥の学校付近にもちろんコンビニなんてあるはずもなく。せめて自動販売機の冷え冷えになった炭酸が飲みたい…
そんな私の呟きを聞いていたのか「買いにいくなら俺のもよろしく。いちごオレ」なんて隣の悟は言ってくる。
こんな暑がってるのにいちごオレって…全然涼しくなりそうもないけど…
買いに行こうかどうしようかと迷っていると。
ガラッと大きな音を立てて教室のドアが開いた。
もちろん教室内に入ってきたのは担任の夜蛾先生だ。