第34章 抱きしめてそばにいて
ガラガラと扉が閉まる音が聞こえる。きっと硝子が部屋を出て行った音だ。
悟はそんな硝子に気がついたのか、もう一度腕を大きく開くと私を再び強く抱きしめた。
幸せだ。
こんなにも幸せで良いんだろうかと思うほど幸せだ。
私達の生きる呪術界というこの世界は、お世辞にも平和な世界とはほど遠いけれど…それでも悟に出会えた事はまるで奇跡みたいで、私にとっては一瞬にしてキラキラとした世界に変わった。
「リン」
優しく私の名前を呼ぶこの声が好きだ。
伏せられた白いまつ毛から見える碧色の瞳が好きだ。
私を愛おし気に見下ろしてくれる甘い視線が好きだ。
たくましく頼りになる最強のその背中が好きだ。
だけど、本当は…
表には見せないが、誰よりも努力家で頑張り屋なところが好きだ。
「ねぇリン、これからもずっと僕を抱きしめてそばにいて。僕を離さないでずっと好きでいて」
「うん、そんなの当たり前だよ。ずっと悟を抱きしめてるよ。ずっとそばにいる…ずっとずっとこれから先も悟を好きになり続ける」
「僕、良い父親になるよ。良い旦那さんにもなる。3人を絶対に守って見せるから」
「うん、悟なら絶対に良いパパになれるね」
「リン、僕に幸せを教えてくれてありがとう。僕と出会ってくれて、僕の奥さんになってくれてありがとう」
「そんなのこっちの台詞だよ…」
「好きだ、大好きだ、愛してる。これから先も永遠に…僕は君を愛すよ」
悟を好きになって良かった。大好きになって良かった。
誰よりも最強で
誰よりも可愛いこの人のことを
「リン、愛してる」
「私も、愛してるよ」
永遠に幸せにすると誓うから。
【end】