第32章 時が来た
……………
ウジのように呪霊が湧き出てくる。
「キリがないっ!!」
私は次々と刀を振り下ろしながら溢れ出る呪霊を祓い続けると「きゃー!!」という大きな悲鳴にピタリと動きを止め、すぐさま方向転換をして走り出した。
刀を強く握りしめ右足で大きく踏み込むと、止まっていた車を足台にし大きく飛び上がる。
目の前には一級相当の大型呪霊。それに対し…相手をしているのはそれよりも遥か格下の術師だ…勝てるわけがない。
私はその呪霊の背へ一瞬にして飛び乗ると、大きな十字傷を付けた後その傷の中心へと刀を深く突き刺した。
「陰影呪法…漆黒流ッ!!!」
次の瞬間、大型呪霊は黒く網状の物が身体全体を包み数秒動きが止まる。
私はその隙をついて刀を引き抜くと、再び大きく上から下へと刀を振り下ろした。
「大丈夫?怪我はない?」
「…影千佳さん…すみません」
…数体、強い呪霊がこっちへ向かって来てる。
この術師じゃ無理だ、やられてしまう。
だけど、正直言って私一人でこの数を相手に出来るか分からない…
「ここは私に任せて、あなたはあっちへ応援に行って」
だけど、やられると分かっている仲間をそのままにしておくくらいなら、私が一人で戦った方がマシだ。
悟…ごめん。
どうか許して。
無茶しないって言ったのに…やっぱり私には無理だった…