第5章 教室
「は?」
隣からそんな悟の気が抜けたような声が聞こえてくる。私はゆっくりと反対側の悟と傑へと視線を移した。
視線を向けた先の悟は、サングラス越しに綺麗な碧色の瞳を見開き心底驚いたような顔をしていたけれど、それも一瞬で元に戻る。
「いやだから、は?じゃなくて。七海と付き合う事にしたんだって」
硝子が何故か呆れたように冷静にそう吐き出し、キャンディーを再び口へと放り込んだ。
「へえー、良かったじゃん」
机に足を乗せポケットへと手を突っ込む悟が興味が無さそうに携帯を開きながらそんな事を言う。
「リン、おめでとう。七海は良いやつだからきっと大切にしてくれるよ」
傑がそんな悟越しに私へとニコリと笑ってくれた。
「ありがとう二人とも」
照れ臭そうにそう答えると「悟、机から足を下ろせ」と、低い声を出しながら教室へと入ってくる夜蛾先生が目に入った。