第32章 時が来た
「あー!!夏油様!お店閉まっちゃう!!」
突然、後ろにいた制服を着た女の子がスマホを見ながら大きな声を上げる。
「もうそんな時間か…すまないね悟にリン、彼女達が竹下通りのクレープを食べたいと聞かなくてね。あ、そういえば君達同じ指輪をしているが結婚したのかい?悟の想いがやっと届いたんだね、私も嬉しいよ。それじゃあ私達はそろそろお暇させてもらうよ」
「このまま行かせるとでも?」
普段の悟からは考えられないような低く重苦しい声が傑の足を止める。
「やめとけよ、かわいい生徒が私の間合いだよ」
「傑…待って」
やっと絞り出た私の震える声に、傑は一瞬優し気に微笑むと悟の後ろに立つ私を見つめ
「リン、そんな顔しないでくれ。私は君のその顔に弱いんだ」
「…傑!!」
「それでは皆さん、戦場で」
傑は大きな鳥型の呪霊に乗り込むと、ヒラヒラと手を振り私達の前から姿を消した。