第30章 紙切れ一枚
それから10日ほどして、悟は本当に私へもう一度リベンジプロポーズをしてくれた。
お互い多忙で時間が無かったにも関わらず、都内の高級ホテルの最上階のレストランを貸し切り、スーツを着て大きなバラの花束と見たこともないほどキラキラと輝くダイヤの婚約指輪を持った悟が「僕と結婚して下さい!!」とまるでドラマみたいにカッコイイ笑顔を見せながらプロポーズをしてくれた。
それにもちろん私も満面の笑みで「よろしくお願いします」と答えると、ホッと安心した様な表情で嬉しそうに、だけど少し照れくさそうに微笑んだ悟が私の左手の薬指へと優しく婚約指輪をはめてくれた。
どうやら悟は、本当にもともと私へプロポーズしてくれるつもりだったらしくタイミングを見計らっていたのか、すでに指輪は随分前から作ってくれていた事を後で知った。
その後は一体一泊いくらするんだ!?というほどのレベルのスイートルームに宿泊して、とても素敵で愛が深まりあったそんな一夜だった。
悟には感謝してもしきれない。この日はとても素敵で思い出に残る大切な日になった。
もちろん、五条家でプロポーズしてくれた事もとっても嬉しくてドキドキして悟を愛しいと思ったあの日の事も、私は絶対に忘れないだろう。
「ねぇねぇリンちゃんー♡新婚旅行どこ行くー?僕はやっぱ海が綺麗なところが良いと思うんだよねぇ」
「んーどこが良いかな?でも悟そんな休み取れるの?あと新婚旅行より先に普通入籍なんじゃない?」
「もっちろん休暇は無理矢理にでも取るんだよ!あと入籍はもう来週にでもしようよ!次の大安の日いつ!?」
「え?来週!?随分急だね、プロポーズされたのまだ数日前とかの話しだよ?」
「えーだって僕は今すぐにでもリンと結婚したいよ?なんなら今この場で婚姻届書いて出してきてもいいくらい♪」
「いや、それはさすがに…悟も家の事とか色々あるでしょ?」
「そんなの無問題!だって結婚するのは僕とリンだよ?周りは全く関係ないじゃない」
「いや、普通はそうかもしれないけど…悟は御三家の当主で呪術師最強でしょ…さすがに無問題ではないと思うんだけど」
ベッドへと寝転び【新婚旅行大特集!!】と書かれた雑誌を片手に眺める悟は、とても楽しそうにニコニコとしている。