第29章 五条家当主
「だから家族愛とか、結婚とかに興味も意味もないってずっと思ってた。だけどリンを好きになればなるほど、いつの間にかその気持ちが変わっていったんだ。リンとずっと一緒にいたい、結婚して家族になりたいってそう思ったんだよ」
「……悟」
「もしかしたら、こんな捻くれた僕だからこそ今日ここでこうしてプロポーズしたことに少なからず意味があったのかもね。僕は今までの五条の人間とは違うって。可愛くて大好きで愛しいリンと結婚して、こんなクソみたいな家を少しでも温かいモノに変えてみせるって」
悟のこんな話を聞いたのは、あの学生の時以来だ。
あの4人で遊んだ帰り道、私と悟が二人きりになって話した時以来だ。
悟が五条家をどう思っているのか、普段それについて聞くことは無かったから。
「リン、きっと君にはこれから少し苦労をかけるかもしれない。でも絶対に僕が守るから、僕がそばにいるから。だから僕を信じて、僕についてきてほしい」
その悟の真剣な表情に、私も真剣な表情でコクリと頷くと
「私は大丈夫だよ、何があっても絶対に悟から離れない!」
悟の手を握り締め、ニコリと彼を見つめた。
大丈夫、悟は絶対に私を守ってくれる。
そして私も絶対に、悟を守ってみせるよ。