第29章 五条家当主
その言葉を聞いた瞬間、自然と私の瞳からは涙が溢れ落ちた。
え…
だって今…
私…何て言われたの…?
それはまるで夢でも見ているかのような…
だけど決して夢ではなく現実で。
「絶対に君を幸せにする」
悟はキラキラと輝く瞳を少し潤ませながら細めると、私の涙をそっと拭い取った。
良いんだろうか、こんなにも幸せなことがあって。
良いんだろうか、こんなにも満たされる自分がいて。
私は、どうしようないほどに悟が好きだ。
どうしようもないほどに、悟が愛しい。
「…本当に私で…良いの?」
きっと御三家の当主であり、呪術界最強の人物五条悟が結婚となるとそう簡単ではないだろう。
それはお互いに分かっている。
分かっていて毎日を一緒に過ごしてきた。
分かっていてお互いを選んだ。
いつかこの選択が私達を苦しませる時が来るかもしれない、悩む時が来るかもしれない。こんな日が来るかもしれないと…そう思いながらも…
私達はお互いを求め、お互いを愛した。
「僕は、リンが良いんだ。リンじゃないとダメなんだ」
だけど、たとえ周りに反対されようと。認めてもらえなかったとしても。
私は…
どうしようもないほどに強がりで
実は誰よりも頑張りやで
とても甘えん坊で可愛いこの人のことを
「こんな私ですが…ひっく…悟のお嫁さんに…して下さい…ッ」
絶対に幸せにしたい。
とめどなく流れる涙をすくってくれる悟を見上げながら、満面の笑みでそう答えると、彼は私を優しく甘く見下ろし、うるうると潤ませていた瞳から一粒の涙をこぼした。
「愛してるよ、リン」
そして、私を強く強く抱きしめると…
そっと優しく唇を重ねた。